海の母星〜

第3部・シュラバ

ジァン・梅原

−その9−

翌朝、シュラバは、前日の苦しみがウソのように消えて、みんなと一緒にニギヤカに朝食がとれるようになっていた。
「みなさん、すっかりご迷惑をおかけしました。おかげで助かりました」
シュラバが改まって言った。
「いや、お互いさまですよ。 こんどはワタクシの番かもしれません。それに、今回はタワケモノ公爵が献身的にがんばりましたよ。ワタクシの時もよろしくおねがいしますね」
カノンが静かに言った。

「そうよ、お互いさまよ。 でも、みんな私について来て、いろんな目に会って、ゴメンなさいね」
モモが言った。
カノンがそれにすぐ答えた。
「いいえ、みんなそれぞれこの惑星マリンを救うために、自分でパーティーに参加したのだから、いろいろ会うのは覚悟の上ですよ。みんなそうですね」
「そうだ。 そのとおり。 オレたちはじっとして、この惑星と一緒に死ぬのはごめんだからな」
タワケモノ公爵が言った。
「そうですよ。 みんなヒメのためなら何でもしますので、ご心配なく‥‥」
ケンハピーが右手をあげてスカウトサインをした。

「タワケモノ、ありがとう」
シュラバがタワケモノ公爵に言った。
「どーいたしまして。 また、ショーネン食いが出来るのでよかったね」
タワケモノ公爵は、元気になったシュラバをうれしそうに見ながら、軽い調子で言った。
「また〜、それを言う〜」
シュラバが口をとがらせたので、みながドッと吹き出した。

笑いながらフト、シュラバの目がケンハピーと合った。
「ケンハピー、あんた、私のハダカ、見たでしょ」
「い、いや、見ませんでしたよ」
ケンハピーがあわてて目をそらせ、顔を赤らめて言った。
「あーっ、見たぁ〜っ!、その顔が見たと言ってるう〜!」
シュラバはケンハピーを指さした。
「私の、何色だった。ブロンド?、それともくり毛?」
「し、知りませんよ。 そんなの‥‥‥。 タワケモノさん何とかして下さいよ」
ケンハピーが閉口して言った。
「をいをい、まだ朝だぞ。 セイショーネンをいぢめちゃ、あかんぜよ」
タワケモノ公爵がおどけて言った。

「もう一日、待ちましょうか」
カノンがポツンとモモに言った。
シュラバの体力回復を考えての発言だった。
カノンはいつも冷静に物事が考えられ、時にはカリスマ性を発揮する時さえあった。
そういった意味では、彼はシャア帝国近衛隊の優れた指揮官だった。

第3部−その10−に続く


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