海の母星〜

第3部・シュラバ

ジァン・梅原

−その16−

「だから、キララ王国の人々は、外に出る時キララを沢山持って行くのね。そして、本来の生命が復活しない様にするため、ヴィーナスが7回登る前にキララを身体に取り入れなければならないのよ。でも、シュラバさんはキララ王国に来たばかりだから、本来の生命と同じなのね。一度は生命の火が消えたけど、ここでゆっくり休んで本来の生命を取り戻しておいてくださいね」
女王レミはシュラバを見つめ、にっこり笑ってうなずいた。
「はい、ありがとうございます」
シュラバが答えた。

「レミ女王、ひとつ質問があります。よろしいでしょうか」
タワケモノ公爵が一歩前に進んだ。
「あら、何かしら」
レミは少し頭をかしげ、タワケモノを見て微笑んだ。

「私はキララを求めて世界中を旅していました。そしてモモ王女とめぐりあい、危機に瀕しているこの惑星マリンを救うため、一緒に旅をすることにしました。今回、奇しくも求めていたキララ王国に来て、キララは『生命の火』であることがわかりました。もし、惑星マリンが滅びても、キララ王国だけは残るのでしょうか」
タワケモノが聞いた。
「残念ですが、マリンが滅びると、このキララ王国もなくなるでしょう」
女王レミは悲しそうに答えた。

「でも、モモさんならこの惑星を救うことが出来るでしょう。タワケモノさん、モモさんを守ってあげてくださいね」
女王レミが軽く頭を下げた。
「わかりました。 もうひとつ質問があります。マリンを救うことが出来た後、私と、もし、承知してくれたらですが、シュラバと一緒にこの国に住むことが出来るでしょうか」
タワケモノがチラッとシュラバを見て言った。

「えっ、えっ」
シュラバがおどろいた様にタワケモノを見たが、すぐにうつむいた。
「ええ、かまわないことよ。 でも、ここに住むと外に出られなくなってしまいますよ。と言うのは、ここで永遠の若者でいても、外に出ると短期間で本来の生命が復活するのよ。もしその時、長い時間が経っていて、本来の生命が尽きていたら、そのまま死んでしまうことになるのよ。それでもいいのね」
レミが聞いた。
「はい、かまいません。 その時が来たらよろしくお願いします」

女王レミとの謁見が済み、モモたちは城の中で数日滞在することになった。
レミはもっと長くいるようにすすめたが、ドーケシの背中に生えたタンポポの芽が少しづつ大きくなっていることが気がかりだったので、シュラバの健康が回復するまでの滞在としたのだ。

モモたちはクラニョンの案内で城の中の、滞在することになった建物に向って歩いていた。
「キララ‥‥、出ているところを見ますか」
先頭を行くクラニョンが、ふと立ち止まって振り返った。
「えっ、キララはどこからか出ているのですか」
タワケモノが聞いた。

第3部−その17−に続く


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