SFファンタジー


海の母星〜

−第2部 モモ−

ジァン・梅原

−その2−

「ホエホエ〜、サンドコブラだよ〜ん」
今まで鈍重そうな緑色のぼってりしたドーケシの身体が、たちまち燃えるような金色の引き締まった体格に変わった。
ドーケシの特長は、戦闘時には全身バネのような体系にすばやく変身することだ。

「ドーケシっ!行くよっ!」
モモが脱ぎ捨てた白いローブが空中に舞い、スラリと抜きはなった長剣が、金、赤、緑色に光る。金色の大きな太陽、赤い小さな太陽、そして昼間でも緑色に輝く月のカクテル光線を反射して、長剣は見る角度によって三色に輝く。

ローブを脱ぎ捨てたモモは簡易戦闘服をまとっていた。
と言っても、肩当て付きで、胸と胴を覆ったものと、腰まわりを覆っているセパレートになった甲冑だけだ。

「ウォォーン!」
十数メートルも鎌首を持ち上げたサンドコブラは、その巨大な図体に似つかわしくない素早さで突然上空から攻撃してきた。
モモの乗ったドーケシはいきなり前方に突っ走る。
「ずしーん!」
ドーケシが走り去った直ぐ後ろの地面に、砂煙を上げて突っ込んだサンドコブラの鎌首は、直ぐに反転してドーケシとモモを追う。

サンドコブラの第1撃をかわしたドーケシは、そのまま正面に立ちふさがる巨大なサンドコブラの胴体に向かって突進した。
トゲトゲが生えた褐色のウロコの壁が目の前に迫った。
衝突を間一髪で交わした瞬間、ドーケシの背中のモモの長剣が閃いた。
パチパチっと、稲妻と火花が飛び散った。
モモの持った長剣は、ただ単に物理的なダメージを与えるだけではなさそうだ。

モモたちが走り去った後の胴体に、横に切れ目が走る。
その切れ目からどっと黒い液体が蒸気の様に吹き出し、次の瞬間ボンと燃え上がった。
「ぐぉぉぉ〜っ」
砂嵐の様にあたり一面土煙が立ちのぼり、その中心でサンドコブラが、炎と黒煙を振りまきながら地響きを立て、ぐるぐる回る。

ドーケシはそのまま走って高台まで駆け上がった。
「ぼ〜んっ!」
振り替えると土煙の中から大きな炎と黒煙がたちのぼった。

乾ききった砂漠の中で、石油の様な血液を持つたサンドコブラが炎に包まれて、激しく燃えていた。


以下第2部− その3 −に続く



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