SFファンタジー


海の母星〜

−第2部 モモ−

ジァン・梅原

−その8−

モモはシーンと静まり返ったホールで、話し始めた。
「みなさま、こんばんは。私は、みなさまに今宵このように歓迎をしていただいて、うれしく思います・・・・」

「私は、シャア皇帝陛下の命を受け、この星を救うカギがあると言われている聖地 『ユウ』 に向かって旅をしています」
「聖地 『ユウ』 は、今まで何人をも近づく人を拒み続けてきました。したがって、まだ誰も聖地 『ユウ』 に到達したことがありませんし、『ユウ』 に何があるのか、誰にもわからないのです・・・・」

「この世界は、伝説の人『トシオ』によって創られたと言います。 そして、この私は 『トシオ』 の血をひく子孫と言うことですから、この星の将来に責任があるようです・・・」
「私が聖地『ユウ』に迎え入れられるかどうかわかりませんが、私が 『ユウ』 に行けばこの星は救われるのではないか、との言い伝えにしたがっているわけです・・・」

モモのあいさつに、みんなが惜しみない拍手を送った。
続いてファンファーレが鳴り、出席者が紹介され、自己紹介が始まる。
『アヤの町の町長、パンダオセロ団総帥、アヤ公爵殿・・・』
金髪の着飾った婦人がにみやかに進み出てきた。
「アヤの町にようこそ、ここは平和を望む人々の希望で支えられている永遠の町です。ゆっくりとお休みして行って下さい」
「盛大な歓迎に感謝します。あなたにお会いできたことをうれしく思います」
モモは顔を真っ直ぐ前に向けたまま、少し膝を下ろしてあいさつをした。
頭を下げると冠が落ちそうだからだ。
ただし、そうしながらもモモは右手を少し上げ、手を広げてヒラヒラさせた。
実はモモはずっと昔からアヤを知っているのだが、公式の場でのあいさつだったので、こんな合図しかできなかったのだ。

続いて銀髪の品の良い貴族が、白を基調とした上品なドレスを着た婦人を連れて出てきた。胸にキラリと大粒のダイヤモンドが光っている。 『平和の光』 と呼ばれる「ぷりくら帝国」特産のダイヤモンドだ。
『ぷりくら帝国派遣、アヤの町駐在大使、そらまめ伯爵殿・・・』
「旅の途中で、ぷりくら帝国にも是非お立ち寄り下さい」
「ありがとう、そのときはよろしく」

『元・シャア帝国空軍元帥、アクアリウム館長、アキ伯爵殿・・・』
シャア帝国空軍元帥の正装姿のスラリとした長身の胸に、数々の勲章がきらびやかに並ぶ。
そばにはピンクのパーティードレスの婦人が寄り添う。
「プリンセスモモ、是非 『星恋湖』 のほとりのアクアリウムにお立ち寄り下さい。 フユウさんが旅に出て 『黄昏館』 がクローズされてしまいましたので、そこに集っていたポエマーたちのためにアクアリウムを建立しました。 おかげさまで、この町に来るポエマーたちをがっかりさせないですむことができるようになりました」
「アクアリウムの主催、ごくろうさまです。私も時間がありましたら、是非お寄りしたいと思います
モモが答えた。

以下第2部− その9 −に続く



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