SFファンタジー


海の母星〜

−第2部 モモ−

ジァン・梅原

−その18−

「いや、キラータンホポのことは聞いてはいたんですが・・・・。本物を見るのは初めてです。こんなに凄まじいものとは思いませんでした。最初ふわふわと紅い雪が降ってくるでしょ。これがキラータンポポかなと、手に受けるとチクリでしょ。ワッこれはまずい、と思って逃げだしたのですが急に数が増えて・・・・・。ホント、ここがなかったらドボンでしたね」
ケンハピーは続けた。

「実はシャア帝国にこの惑星を救うメシア(救世主)が現れ、旅に出たとのウワサを聞いたものだから、その歩いた後を追っていたのです・・・・。もしや、あなたがたがそのメシアですか?。もしそうだとしたら、是非連れて行って下さい」
ケンハピーの視線がそれぞれのメンバーの間をせわしなげに行き来した。
タワケモノとシュラバが顔を見合わせた。

ちょっと間をおいて、カノンがポツンと言った。
「しかし、キラータンポポの存在を知りながら、身体中にくっつけて飛び込んでくるような不注意な人間をメンバーにしても、手足まといになるだけだと思いますね」
「そんなこと言わないで・・・、ね、ね、おねがい、おねがい。何とか人のために働きたいのです」
ケンハピーは手を合わせて、モモやタワケモノ、シュラバにぴょこぴょこと頭を下げた。

「そうねぇ、ケン、あなた、何か得意技があって?」
シュラバが聞いた。
「え〜っと、弓が出来ます。自分で言うのも恥ずかしいのですが、国では10メートル離れたところにいる蚊の目玉を射抜くと言われているほどです」
ケンハピーが答えた。
「そう、目がとてもいいのね。それから?」
と、シュラバ。
シュラバはどうやらケンハピーを連れて行きたそうだった。

「それから・・・・、身が軽くて動きが素早いことと、それにどんなカギでも開けられます」
ケンハピーはいっしょうけんめいだった。

「ほう、それじゃまるきりドロボーですね。しかし、さっきは身体中キラータンポポがついていましたが、あれでも素早いと言えますか?」
またまたカノンがポツリと言った。
「いや、あれは・・・・。あまり数が多いのでさすがによけられず、見苦しい姿をお見せしてしまいました。ところであのー、私のことをドロボーと呼ばずにトレジャーハンターと言って下さい」
ケンハピーの声が急に小さくなり、救いを求めるようにシュラバを見た。

「カノン、青少年をあまりいじめない方がよくってよ。ねえ、モモさん。連れて行きましょうよ」
シュラバが言った。
「そうねぇ、みんなが良かったらそれでいいわ」
モモが答えた。

「ありがとうございますっ!、オレ、しっかりがんばりますっ」
ケンハピーはうれしそうにメンバーの面々にピョコピョコ頭を下げた。

第2部−その19− に続く


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